2026.06.15
宗祖降誕会のこと

毎年6月15日は、高野山真言宗の宗祖である、弘法大師空海(お大師さま)のご誕生をお祝いする「宗祖降誕会(しゅうそごうたんえ)」です。

お大師さまは宝亀5年(774年)、讃岐國多度郡屏風ヶ浦(現在の善通寺市)にお生まれになりました。

空海が生まれる前、ご両親は、あるとき夢で天竺から聖なる僧がやって来て、自分たちの懐に入るのを見ます。そして懐妊し生まれたのが空海さん。幼名は真魚(まお)。
「この子はいずれ仏弟子にしよう」と言っていたそうで、それを聞いた幼い空海さんも大変うれしかったとか。

空海さんは幼いころから土で仏さまを作り、拝むことを遊びにしており、また大変に賢かったこともあり、両親や周囲の人たちから「貴物(とうともの)」と呼ばれ育ちました。

幼い頃から優れた才能を示され、やがて唐へ渡って密教を学び、日本に真言密教を伝えられました。そして、高野山を開創し、多くの人々に仏さまの教えを広め、今日まで続く真言宗の礎を築かれました

宗祖降誕会では、お大師さまのご誕生をお祝いし、その恩徳に感謝するとともに、私たちもお大師さまの教えに学び、自らの歩みを見つめ直します。

また、4月8日の花まつりでお釈迦さまのご誕生をお祝いするように、宗祖降誕会でもお大師さまの御誕生像に甘茶を灌ぎ、ご誕生をお祝いします。一杓の甘茶には、お大師さまへの感謝と、仏さまの教えに出会えた喜びを込めてお参りいただきます。

この佳き日に、お大師さまのご誕生をともにお祝いし、その大いなる慈悲と智慧に思いを寄せながら、日々の暮らしに感謝の心を育むご縁となれば幸いです。

宗祖降誕会のことの投稿画像02

幼少期の空海の姿をあらわした「稚児大師立像」は、聖徳太子の像を模して江戸時代に造像されたと推定され、普段は御影堂奥殿の厨子に安置されているもので、その写しが駕龍寺に所蔵されています。

その御姿は中央で分けた髪を後で束ねた角髪(みずら)に結った童形で、手には法界定印を結びその上に五輪塔を載せ
ふくよかな頬などが愛らしい御姿です。

宗祖降誕会のことの投稿画像03

掛軸の像

宗祖降誕会でお祀りしている「稚児大師像」は、仏教美術学者・仏画家であり、真言宗の僧侶でもある真鍋俊照師の御作です。真鍋師は、仏教美術の第一人者として長年研究と創作を重ね、数多くの仏画・仏像を手がけられています。  

この稚児大師像は、空海の5~6歳のころのお姿で幼少時、空海は、さまざまな仏さまと交流している夢をよく見たのだそうです。
そのことは、御遺告(ごゆいごう-空海の遺言)に、『夢に常に八葉蓮華の中に居坐して諸仏と共に語ると見き』とあります。

そのお姿が絵になり、彫刻になりして、全国に残されました。お大師さまの幼少のお姿を表したもので、未来に大いなる志を抱く清らかな眼差しと、幼子ならではの愛らしさが見事に表現されています。そのお姿に手を合わせると、お大師さまが私たちと同じように一人の子どもとして生を受け、努力を重ねて悟りの道を歩まれたことを身近に感じることができます。