2026.02.18
常楽会と涅槃図のこと
毎年2月15日に執り行われる「常楽会」とは、お釈迦さまがご入滅された日を偲び、そのご遺徳に感謝を捧げる大切な法会であり、釈迦涅槃図をお祀りして祈りを捧げることから「涅槃会(ねはんえ)」とも呼ばれています。
法会の最初に唱えられるのは、「祭文(さいもん)」と呼ばれる声明で、釈尊を慕う内容の文章に節回しをつけて唱えるその御経の響きは、胸に深く染み入るものです。
駕龍寺には、釈尊のご入滅の様子を描いた「涅槃図」が二幅伝えられています。
一つは江戸時代に描かれた大きな涅槃図で、当時の人々の信仰や美意識が感じられる、見応えのある作品です。
↑上部写真↑
もう一つは、京都・東寺に伝わる室町時代の涅槃図をもとに、西陣織で再現されたものです。中央の釈尊は金箔や金糸によって荘厳に表現され、入滅を悲しむ菩薩やお弟子たち、さらに多くの動物たちが、色とりどりの絹糸で織り上げられています。織物ならではの光沢と立体感があり、極彩色の美しさが印象的な涅槃図です。
↑上部写真↑
また一般的な涅槃図ではあまり見かけませんが、東寺の涅槃図には猫が描かれているのも特徴です。細やかな表現のひとつとして、見る方の関心を引くポイントになっています。
涅槃図は仏教美術としての価値だけでなく、いのちの尊さや無常を静かに伝えてくれるものです。駕龍寺では年に一度、常楽会の際に公開し、釈尊の教えに思いを寄せていただく機会としています。